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Total Tuning



 トータルチューニング。それはTRDのシェフが丹精込めたフルコース料理のこと。
 もちろんエアロパーツ、サスペンションといったアイテム毎の単品料理でも美味しく食べて頂く自信はあるが、全てを組み合わせた際のフルコース料理は、単純な足し算ではなくよりレベルの高い次元だということを味わっていただきたい。 クルマの基本性能開発は機械や数値を使ったいわゆる「解析」と呼ばれる開発手法を用いる。その次の段階として「乗り味」の造りこみがある。メインは評価ドライバー、しかもその車に精通した「一人のドライバー」による官能評価によるチューニングに重きを置いている。
  なぜ正確な数値よりも人間の感覚を重んじるのか。
  それは解析結果には表れないほんのわずかな違いを感じてしまうほど人間の五感は繊細と考えているから。人間が車を運転する以上、その「繊細な感覚」、一方で「機械に劣る鈍さ」に対応し追従していきたい。デジタルがはじき出した正論を、人間の感覚に補正する。これは同じ人間のフィードバック以外になし得ない。
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Member Brace



 ボディ剛性、シャシ剛性。よく聞く言葉であるがなぜ重要か、どのように作用しているのかについて語られているのは非常に少ないと感じる。
  剛性はクルマだけではなく色々なものに存在している。建築物にもあり、果ては人体まで。
  むやみやたらに耐震補強をしただけではどこかに歪みが生じ、そこが新たな補強箇所となる。また、人体でも体幹を無視したやみくもなトレーニングをすると故障の原因になることもある。そのため、適切な場所に適切な量の補強を付与することが肝心である。
  クルマも同様、ボディ/シャシにかかる力が均等になっていないことがある。例えばそれは高速道路のインターチェンジのような大きなカーブでハンドルを一定の角度で止めた時、速度は変わっていないのにクルマがイン側に入ったりアウト側に膨らんだりという現象として現れ、わかりやすく体感することができる。これではドライバーがクルマに修正舵を与え続けることとなり、「意のままに」はならず、むしろ疲労を与えるものとなる。
  このボディ/シャシにかかる力をなるべく均等にすることで解消するのがメンバーブレースである。そして、それを完璧になし得るのは「解析」であり、その加減を調整するのは「官能」である。

   

Aero Parts



 我々が得意とするレース車両とは程遠い「エレガントスポーツツアラー」というコンセプト。
  これはいかに低い速度から空力効果を出すか、快適、楽しいなどの「乗って楽しい」はもちろん、エレガント、流麗などの「見て楽しい」性能を持たせるか、突き詰めたうえでのコンセプト。
  このコンセプトを「解析と官能」に基づきデザインする。
  その結果、このエアロパーツは高速道路でもふらつかない直進安定性の向上と風切音の減少をもたらす。
  具体的には、フロントスポイラーに当たる空気を上下左右にきっちりと分断する、結果、下面の空気の流れを上面より速めるとともに、前方から車両側面に抵抗なく空気を流し整える。
  リヤバンパースポイラーではスポイラーとボディとの間に空気が入り込み抵抗になってしまうのを防ぐため、スポイラー中央部を車両下部、奥深くまで潜り込ませた。それは抵抗を減らすだけではなく、フロントスポイラーで引き入れた空気を気持ちよく後方に排出する効果もある。
  空気はクルマが走るためには文字通り絶対について回るもの。この空気を操り、前後のバランスを取ること、さらにはそれを見た目の上でも前後のバランスをデザインできるのが、TRDが誇るトータルチューニングである。

   

Suspension



 エスティマでサスペンションを開発するのは約10年ぶりのことと言える。
  10年前のチューニングではバネを硬くする、なるべくサスペンションを動かさない、車両のロールを止めるなどの手法でしっかり感を確保する味付けを行っていた。間違いではないがこの手法を用いたがゆえに乗り心地でやや硬さを感じる傾向があったのも事実。
  それでは今回のコンセプト「エレガントスポーツツアラー」にはふさわしくない。
  10年の間で得た技術発展はもちろん、「解析」「官能」をすべて盛り込み、「一度体感すると元には戻れない快適さ」をテーマに改めてチューニングを実施した。
  具体的にはバネを従来よりも柔らかく、乗り心地を向上させた。サスペンションをしなやかに、スムーズに動かすことで、旋回時にも4輪全ての接地性、グリップを最大限発揮させるようにチューニングをした。これは従来のしっかり感を確保しつつ、タイヤの片減り低減や滑りやすい路面での操縦安定性などの効果も期待できる。

   

Performance Dumper



 メンバーブレースではボディ/シャシを固めた。それはあたかも人間が腰を落とし、俊敏に動けるよう準備姿勢をとったような状態である。しかしどんなに運動神経の良い方でも貧乏ゆすりをした状態からすぐに俊敏に動くのは難しいはずである。それを止めるだけでよりスムーズに動き出し、疲労が軽減できるのは容易に想像がつくことと言える。
  ところで、クルマが実際に走行する道は平坦ではない。もちろん坂やカントもあるがそれ以上に、ほとんどの道には凹凸が存在する。そこを走る限り、常に路面からの入力=微振動にクルマはさらされる。それは人間に関節があるようにボディ/シャシにもつなぎ目があり、各所がわずかにたわんだり縮んだりしているから。それはまさに貧乏ゆすりを常にしている状態になっている。
  これを止めるには、そのばねに対する減衰=ショックアブソーバーが必要となる。パフォーマンスダンパーは内部がショックアブソーバー構造となっていることからもわかるように突っ張ることはせずにボディの動きを吸収させるものであり、メンバーブレースとは全く違った効果を求めたものである。
  なお、このパフォーマンスダンパーは単体でも効果は体感できるが、メンバーブレースサスペンションを装着した状態でより一層の効果が出るものでもある。是非TRDのフルコースを味わっていただきたい。