ANOTHER CHAPTER3
“空力デバイスの発明”


なにか新しいものを作りたい!
漠然とした鬱屈した想いからスタートした。

新たな安全装備にLSS+が採用され、安全上の観点から車高が変化するサスペンションが終焉を迎え、 クルマ好きのためにも、もちろんビジネス的にも新たな時代へのブレイクスルーが必要だった。

まったく新しいもの。
ありきたりな発想のものや、もちろん単なるドレスアップではない。

答えは、日常で接するお客様の一言だった。
「空力が体感できる、めちゃくちゃ体感できるパーツが欲しい」
「室内で見えるパーツってないのかな」 ドアミラーしかないと心に決めた瞬間だった。

ミラーと窓ガラスの間は、空力的な感度が非常に高い。
細かなディティールひとつで、素晴らしい空力パーツにもなれば、
本来の走行性能すらスポイルするダメなパーツにもなり得る。

形状の目処をつけるため、まずはCFD解析を実施。
正解は見つからなかった。
ボデー側面に流れる空気が淀み、クルマが浮いてしまう。

最適解が見つからないまま手探りで、凹面を凸面へ作り変えたり、
平滑面にボルテックスを並べたり、様々な形状を試した。

3Dプリンターでパーツを細切れに設計し、組み合わせた。
まるで立体パズルをするように。

テストコースを訪れる度、数え切れないほどのパターンで走行した。
効き目が感じられるもの・感じられないもの、効きが弱いもの・効きが強すぎるもの。
かなりの数を味見した。
トライ&エラーの醍醐味でもある。

正解の形状は予告なく、突然出会える。
ステアリングを指一本分動かす領域で、クルマが鼻先からスーッと曲がっていく。
そんな気持ちの良いものが出来た!あとは見栄えや取付性をと考え、少し形状変化を加えてみた。
すると、その効果が途端にいなくなってしまったり。

われわれの誇る評価ドライバーたちでさえ、見当がつかない結果ばかり。
まるで見えないお化けと格闘している様で、苦悩は続く。

それゆえ、タフト(毛糸)を使って風の流れを分析したり、
霧吹きで窓ガラスに水滴をつけて流れを追ったりと、原始的だが基本に立ち返って再トライ。

しかし、空力性能を出すことばかりに気を取られた結果、
出来の悪い鬘(かつら)のようなものができた。
「マイカーに装着してみますか」と勧めると、必死で抵抗する開発陣。

後付エアロパーツとしては滅多にない、“室内から見える”という面があるから尚更だった。
最終的に、CADだけではなくクレイモデルを作り直し、連日連夜デザインをリファインした。

こうして果敢に挑戦して出来た、新・空力パーツ“エアロダイナミクスミラーカバー” 
意匠権登録済 実用新案登録済

開発当初は「感度が高く難しい場所だよ」と言われ、
商品化は遠い未来に感じた道でもあった。

それでも、高い性能を出すのにひたすら走り続け、
TRDパーツが装着されているクルマをさらなる高みへと導く
モノをつくることができた。

同時に、TRDのエアロパーツは本当に自分でも体感できるのか、
飛ばして運転しないけれど意味があるのかという疑念から
中々手を出せずにいる方にも自信をもってお届けできるものにもできた。

まずは明快な静粛性と、ステアフィール・いわゆるハンドルの手ごたえが
より一層はっきりするのを堪能していただけたなら、
他のエアロパーツにもトライしていただき、われわれの大事にしている
トータルバランスを味わっていただきたい。
誰でも体感できるパーツを、という開発陣の想いを込めて。

すべては、あなたのライフスタイルのために。

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